臨床研修セミナー 早産
診断—背景因子と頸管因子を中心に
牧野田 知
1
,
田中 俊誠
1
,
藤本 征一郎
1
Satoru Makinoda
1
1北海道大学産婦人科
pp.1088-1094
発行日 1989年11月10日
Published Date 1989/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208111
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先進国における早期新生児死亡の85%は早産に起因する1)といわれており,この予防が産科臨床上極めて重要な問題となっている。早産は妊娠24週以降37週未満の期間の分娩と定義されているが,早産をきたす疾患としては母体側および胎児・付属物側に分けると表1のようなものが考えられる。北大産婦人科における昭和55年から3年7ヵ月の期間での早産の原因別頻度を同じく表1に示すが,早産の予防・管理の面で特に注意すべきなのは,何といっても全体の1/4を占める破水である。破水の確定診断,ことに高位破水・仮羊水破水の診断は臨床上困難なことが多く2),また破水を引きおこす原因として極めて重要なChoiioamnionitisの診断もなかなか難しい3)。表1に示された各々の原因については,個々に対応する診断・治療が必要となるが,早産を疫学的な見地から見ると,様々な多くの背景因子・誘発因子が発生に関与していると考えられる。
早産の予防のためには,既往歴などから早産をおこしやすいハイリスク(HR)群を選別し,妊娠初期から集中的な管理を行うとともに,一般の対象においても,積極的な内診等によって早産徴候を早期にとらえ,早期診断・加療を行うことが重要となってくる4)。
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