講座 実地医家のための不妊症治療講座・1
頸管因子
香山 浩二
1
,
小林 真一郎
1
,
繁田 実
1
,
平 省三
1
Koji Koyama
1
1兵庫医科大学産科婦人科学教室
pp.44-47
発行日 1987年1月10日
Published Date 1987/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207526
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妊娠の成立に際して,子宮頸管はそこで分泌される頸管粘液(cervical mucus:CM)を介して精子の通過路となるだけでなく,精子の貯蔵,選択,活性化などの生殖生理学上大変重要な役割を担っている。臨床統計学的に子宮頸管の器質的あるいは機能的異常によって精子の通過性が障害されて不妊となる頸管因子は不妊原因全体の約10%を占めている。頸管不妊因子の中で明らかに頸管の解剖学的異常を伴う器質的病変を認める場合は少なく,むしろ頸管の機能異常によるCMの産生不全や性状に異常を来して精子の頸管通過性が障害される,いわゆるCM—精子不適合症例が大部分を占めている。通常のCM検査で異常がないのにCM—精子不適合が認められる症例の中に血中あるいはCM中に抗精子抗体の検出される場合がある。
本稿では,頸管での精子通過性障害因子の検出法とその治療法について解説する。
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