今月の臨床 不妊診療のABC─ARTの前にできること
不妊原因診断とARTの前の対処法
8.頸管因子
弓削 彰利
1
,
楢原 久司
1
1大分大学医学部産科婦人科
pp.1148-1151
発行日 2011年9月10日
Published Date 2011/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102783
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
子宮頸管は,精子が腟から子宮を経て受精の場である卵管に至るまでのスタート地点である.そこに存在する頸管粘液は通常,粘性が高く,感染防御の役割を果たすが,排卵期にはエストロゲンの影響を受けその量が増加し,粘性が低下することにより子宮内への精子の侵入を容易にする.よって排卵期に頸管粘液の量的質的異常を認めた場合,妊娠率は低下する.また近年,性生活の変化によってHPVに感染する若年者の増加が認められ,それに伴う子宮頸部病変のために妊孕性を考慮した円錐切除術を施行されるケースも増加しているが,円錐切除術が原因と思われる不妊例も報告されている.さらに頸管因子には免疫学的側面(抗精子抗体による精子─頸管粘液不適合)もあるが,それについては別稿「免疫性不妊」を参照されたい.ここでは,(1)頸管粘液の分泌異常,(2)円錐切除術後の影響について述べる.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.