特集 エコー 診療マニュアル
婦人科
14.胞状奇胎
牧野田 知
1
,
田畑 雅章
1
,
田中 俊誠
1
,
藤本 征一郎
1
Satoru Makinoda
1
1北海道大学医学部産婦人科
pp.1390-1391
発行日 1991年12月10日
Published Date 1991/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904979
- 有料閲覧
- 文献概要
全胞状奇胎の子宮矢状断面像(妊娠14週)(図1)
子宮は外径110mm×93mm,内径95mm×75mmと拡大し,通常のこの週数の胎嚢径(Gesta—tional Sac Diameter=GSD)に比し,ほぼ同等か若干増大している。子宮内腔には羊水・胎児などは認められず,子宮壁を構成する子宮筋層より高輝度(high echogenic)な顆粒状(granular)の部分が左上部2/3を占めており,この高輝度部分の中に直径2.0〜8.0mm程度の超音波透過部分sonolucent area)が多数存在している。これらは奇胎嚢胞の小胞(vesicle)を示していると考えられる。また右下方に数個みられる直径10mm以上の嚢胞状(cystic)の超音波透過部分は奇胎内の出血部分と考えられる。なお,奇胎嚢胞は妊娠の進行にともなって妊娠8.5週で直径約2mm,妊娠18.5週で約10mmへと増大するといわれ1),解像力の悪い超音波装置が主流であった時代には,奇胎嚢胞が大きくなってはじめて子宮内腔に多数の嚢胞の存在を示す吹雪状形態(snowstorm appearance)が認められ,これが胞状奇胎の典型的超音波像といわれてきた。現在では超音波装置の解像力の進歩にともない,妊娠の第1三半期から認められる上図のような所見が胞状奇胎の典型的像といわれている。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.