特集 不妊症の治療--最近の焦点
子宮頸管因子異常の治療
杉本 修
1
Osamu Sugimoto
1
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
pp.119-122
発行日 1972年2月10日
Published Date 1972/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204558
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はじめに
子宮頸管の表面は粘液分泌細胞からなる一層の円柱上皮で被われており,卵巣ホルモン特にエストロゲンの影響を強くうけて,分泌液の物理化学的性状が周期的に変化することは周知のことである。不妊診療面ではこの頸管粘液の物理化学的検査は腟壁スメア診とともに卵巣機能を知る上にかかすことのできない検査としてroutine化され,最も頻繁に,広く行なわれているものであり,子宮頸管は観察の機会が非常に多い部分である。
一方この部分は妊娠成立に際し,精子がまず通過せねばならない第一の関門であり,その解剖学的,病理学的あるいは機能的異常は不妊の原因として重要な因子である。その頻度は女性不妊原因の10〜25%を占めると考えられている(Grant,1958;Noyes,1959)。しかしながら頸管完全閉塞を除けば,頸管異常因子の大部分は絶対的なものではなく,確実な不妊原因と断定することは実際上困難な場合も多い。
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