Japanese
English
綜説
心拍変動と突然死
Heart Rate Variability and Cardiac Sudden Death
赤石 誠
1
Makoto Akaishi
1
1慶應義塾大学医学部中央臨床検査部/呼吸循環器内科
1Department of Clinical Laboratories and Cardiology, Keio University School of Medicine
pp.1130-1140
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900965
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突然死とは
突然死(sudden death)という言葉は,多くの場合と状況で用いられる.一般社会においては,突然の社会生活の中断という意味から重大であり,よく耳にする言葉である.突然死という定義は,WHOでは「発症後24時間以内の死」とされているが1),これはあくまでも医療統計のための定義であり,実際の医療の現場では,症状発現から死亡までの時間がもっと短い場合を想定している.米国では年間30〜40万人が突然死で死亡しているといわれているが2),そこで用いられている突然死の定義は前述した「発症後24時間以内の死」という定義とは異なり,発症後1時間以内の死亡を指している3).突然死は心室細動による不整脈死である4),と循環器内科医は考えていることも事実である.このように突然死の定義は漠然としているのが現状である.そこで突然死と心拍変動の関係を論ずる前に,突然死の定義について問題点を明らかにしておきたい.
突然死は「予期しない」「急速に進行した」「自然死」である.このなかで,予期しないという定義はさらに微妙な意味あいが含まれている.つまり全く健康であったがある日突然死亡したという突然死,病気が存在して予後が悪いことは予期していたが,意外にも突然死亡してしまったというものの両者がいずれも「予期しない」ということに含まれている.
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