先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
胎児心拍数曲線の考え方—発現機構とその調節
一過性変動
佐藤 章
1
,
斉藤 純也
2
,
明城 光三
2
,
遠藤 力
2
,
星 和彦
1
Akira Sato
1
,
Junya Saito
2
,
Kazukiho Hoshi
1
1福島県立医科大学産科婦人科学教室
2東北大学医学部産科婦人科学教室
pp.589-591
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207434
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胎児心拍数図上における一過性変動とは,陣痛に伴って心拍数が一過性に変化する場合をいい,心拍数基線に対し一過性に心拍数が上昇する場合と,下降する場合がある。一過性に心拍数が上昇する場合を一過性頻脈ac—celerationと定義し,この場合は陣痛に伴って起こる一過性頻脈を周期(性)一過性変動といい,陣痛とは無関係で主に胎動等に伴う一過性の頻脈を非周期(性)一過性頻脈と定義している。一過性頻脈は胎児の状態が良好の場合に出現するといわれているが,その発現機構や調節については不明な点が多い。一過性変動のうち心拍数が一過性に下降する場合を一過性徐脈という。一過性徐脈は一般に大きくわけると3種類に分類される。それらは早発一過性徐脈(early deceleration),遅発一過性徐脈(late deceleration),変動一過性徐脈(variable decele—ration)である。一過性変動のうち,一過性徐脈は胎児のhypoxiaに深く関係することが多く,ここでは主にその発現機構と調節について解説する。
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