Japanese
English
解説
心拍変動の評価法
Clinical Assessment of Heart Rate Variability
大塚 邦明
1
Kuniaki Ohtsuka
1
1東京女子医科大学附属第二病院内科Ⅰ
1Tokyo Women's Medical College, Daini Hospital, Department of Medicine, Division of Neurocardiology
pp.125-132
発行日 1994年2月15日
Published Date 1994/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900810
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心拍変動の臨床的意義
近年,心拍変動が自律神経機能を反映するとの見解が認められてきた.心拍変動の大小が副交感神経機能に相関することを最初に報告したのはEwingら1)である.彼らは先行RR間隔と連結RR間隔の差を指標とした.これとは独立に心拍変動の周波数解析が登場した2〜4).周波数に依存して副交感神経と交感神経の各々の機能が評価できるとする考えであり,Bergerら5)によりイヌを用いた実験で実証された.この手法の特徴は副交感神経と交感神経の両者の機能を同時に評価し得ることである.その結果,これまで「安静下」などの一定条件下での評価しかできなかった自律神経機能が,周波数解析法の登場により任意の生活行動下の自律神経活動を時間軸に沿って観察することができることになった.そのため,最近,心室頻拍などの不整脈や狭心症発作の直前の自律神経活動の変化を評価しようとする試みが数多くなされている6〜9).
一方,さまざまの心拍変動の指標のなかで,なかんずく長い変動性(例えば24時間周期)の指標は,心筋梗塞後の予後や急死の予測に応用し得るとする報告10〜17)が相次ぎ,循環器病学への応用が大きく期待されることとなっている.しかし,心拍変動は自律神経機能にだけ依存しているわけではないので,心拍変動,即,自律神経活動と短絡した考察をしないよう思慮すべきである.また,洞調律下の心拍変動が対象であるため,期外収縮の前処理が重要である.
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