症例
精神分裂病合併妊娠・分娩の臨床統計
八幡 剛喜
1
,
鈴木 孝明
1
,
湯沢 秀夫
1
,
金沢 浩二
1
,
竹内 正七
1
,
三浦 まゆみ
2
Goki Yahata
1
,
Mayumi Miura
2
1新潟大学医学部産科婦人科学教室
2新潟大学医学部産科精神科学教室
pp.47-51
発行日 1985年1月10日
Published Date 1985/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207115
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精神病に罹患していながら妊娠・分娩に至る例,すなわち精神病合併妊娠・分娩の報告は,従来極めて少なかった。今回,われわれは精神分裂病を中心に非定型精神病と比較しながら,精神障害と妊娠・分娩が相互に及ぼす影響について検討してみたので報告する。
分裂病では,精神症状が妊娠・分娩により影響を受けることはなく,むしろ向精神薬を中止することで悪化するため,投薬は不可欠と思われた。また,育児における母性の稀薄さも認められた。一方,非定型精神病では,妊娠・分娩の影響と思われる精神症状の悪化を認める例があったものの,向精神薬は症状により,漸減・中止が可能であった。また,母性に関しても,分裂病患者と比較して強いものが感じられた。
精神病が妊娠・分娩に与える影響としては,妊娠中毒症を高率に認める以外,大きいものはなく,向精神薬の影響と考えられる児の大きな奇形は全例を通じて認められなかった。
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