薬の臨床
尿中微量estrogen半定量法の臨床における有用性の検討
鈴木 康之
1
,
林 伸旨
1
,
野間 純
1
,
安藤 尚子
1
,
清水 一二美
1
,
早田 幸司
1
,
占部 清
1
,
吉田 信隆
1
,
関場 香
1
Yasuyuki Suzuki
1
1岡山大学医学部産科婦人科学教室
pp.53-59
発行日 1985年1月10日
Published Date 1985/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207116
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競合的赤血球凝集阻止反応を応用した尿中微量estrogen測定キットを用いて,不妊症婦人について卵巣機能の評価を行った。同時に著者らの高速液体クロマトグラフィーによる全自動direct assay法にて血清中estradiol,esterone,progesteroneを測定し比較検討した。
尿中LH peakをDay 0とすると尿中estrogenは,自然排卵例ではDay−1〜Day+1に80〜100ng/ml,HMG-HCG療法例ではDay−2〜Day 0に120〜1,500ng/mlのpeak levelに達し,卵胞成熟の指標となることが示唆された。しかし,血清中estradiolは採血当日の尿中estrogen (r=0.639)より採血翌日の尿中estrogenと(r=0.714)より高い相関を示し,最終的には血中estrogenによるモニタリングが必要であると考えられた。
以上より,早期尿中estrogenが自然排卵例で40ng/ml,HMG例で100ng/mlのlevelに達した時点より,血清中性ホルモンによるモニタリングに切り換えれば,患者の負担も少なく適切な卵巣機能評価が可能となる。
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