ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 子宮筋腫
子宮筋腫合併妊娠の取り扱い
金沢 浩二
1
,
竹内 正七
1
,
吉沢 浩志
1
,
丸橋 敏宏
1
Koji Kanazawa
1
1新潟大学医学部産科婦人科学教室
pp.581-585
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207214
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子宮筋腫は産科婦人科領域における最もpopularな良性腫瘍であり,その発生の背景因子として性ステロイド,特にエストロジェンとの関係がそのレセプターレベルで検討されつつある1,2)。近時,婦人科腫瘍への関心はもっぱら悪性腫瘍に向けられており,子宮筋腫への関心は薄らいだ感もある。しかし,子宮筋腫の発生原因,病態生理などの基礎的問題は未解決のままである。また,臨床的事項に関しては,多くの成書にその基本的なoutlineが記載されているが,子宮筋腫が良性腫瘍であり,原則的に生命をおびやかすものでないことから,実際の臨床における取り扱いには多くの異なった意見がきかれるところである。
本腫瘍は性成熟期に多発することから,妊娠との合併症例も多く,それぞれ相互にいろいろな影響を及ぼし合うことが経験される。したがって,その取り扱いにはさらに多くの意見が提起されている。基本的には待機的療法と積極的療法とがあるが,なお十分な検討が加えられなければならない。本稿では,教室の臨床成績を紹介した後に,文献的な考察を行い,子宮筋腫合併妊娠に関する適正な取り扱いをさぐりたいと考える。
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