産婦人科医療--明日への展開 診断基準--新しい局面
Ⅰ.婦人科篇
絨毛癌
後藤 節子
1
,
可世木 成明
1
Setsuko Goto
1
,
Shigeaki Kaseki
1
1名古屋大学医学部産科婦人科学教室
pp.611-615
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206859
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昭和57年10月号日本産科婦人科学会誌上に,絨毛性疾患分類に関する日本産科婦人科学会・日本病理学会合同委員会による絨毛性疾患定義・分類・診断基準が報告された1)。この報告によると,従来我々が用いていた定義・分類・診断基準に大きく異なることはなく,本邦学会で主張されていたことが,より厳密に基準化されたといえる。以下この合同委員会報告に従い,我々臨床家が絨毛性疾患患者に直面し,診断を下す時に問題となる点に若干の考察を加えたい。
化学療法の発達と診断法の進歩に伴って,絨毛性疾患の治療成績は向上した。なかでも絨毛癌についていえば,昭和30年代には絨毛癌患者は100%死亡していたが,50年代半ばに至り,当教室においても,その治癒率は80%前後に上昇している。これはActinomycin-DとMe—thotrexateよりなるcombination chemotherapyの徹底を中心とする化学療法,手術2),放射3),免疫療法を併用する集学的治療の結果と考える4)。
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