臨床医のプライマリ・ケア 産婦人科プライマリ・ケアの背景
環境因子—絨毛性腫瘍
原 孝子
1
,
広川 清二
1
,
西川 良樹
1
,
石塚 隆夫
1
,
後藤 節子
1
,
可世木 成明
1
,
友田 豊
1
Takako Hara
1
1名古屋大学医学部産科婦人科学教室
pp.763-766
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206702
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絨毛性腫瘍(絨腫瘍)は,日本を含む東南アジアで頻度が高く,約350回の分娩に1回と欧米に比較して2〜3倍の発症をみている1)。その上,他の悪性腫瘍と異なって比較的若い20〜30代の婦人に多い疾患であり,挙児を希望するものも多い。しかし現在では化学療法の発達により予後は向上し,胞状奇胎(奇胎)はもとより,破壊性奇胎(破奇),絨毛癌(絨癌)の症例でも,発症時に適切なプライマリ・ケアが施行されれば,その後の妊娠・分娩を期待できるようになってきている。
名古屋大学産科婦人科学教室では,昭和37年より愛知県の絨毛性腫瘍の登録管理を行なうことにより,奇胎後の管理,破奇・絨癌の早期発見・早期治療を積極的に行ない,治療後の妊娠・分娩,奇胎娩出後の妊娠分娩についても一定期間を過ぎたら特に制限しないよう指導してきた。その結果,奇胎・破奇・絨癌の治療施行時に子宮全摘術を施行せざるを得なかった症例を除いて多くの症例に児を得ている。
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