Japanese
English
総説
死亡率80%から妊孕能温存治療ヘ—絨毛癌患者のQOL向上の軌跡
A remarkable improvement in the quality of life of choriocarcinoma patients: From the most patients' death(mortality rate; 80%) in the past,to all patients' remission with the possible preserving their fertility now
後藤 節子
1
Setsuko Goto
1
1名古屋大学医学部保健学科
1Nagoya University School of Health Sciences
キーワード:
絨毛性疾患
,
絨毛癌
,
妊孕能
,
化学療法
,
妊娠
,
挙児希望
,
QOL
,
trophoblastic tumor
,
choriocarcinoma
,
fertility
,
chemotherapy
,
pregnancy
,
hope for child
,
quality of life
Keyword:
絨毛性疾患
,
絨毛癌
,
妊孕能
,
化学療法
,
妊娠
,
挙児希望
,
QOL
,
trophoblastic tumor
,
choriocarcinoma
,
fertility
,
chemotherapy
,
pregnancy
,
hope for child
,
quality of life
pp.1-7
発行日 2001年6月30日
Published Date 2001/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7009200158
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はじめに
昭和30年代、絨毛癌と診断されれば死を意味する時代より、今日では、絨毛癌の全症例がほぼ治癒し、日本では絨毛癌で死亡する患者は殆どみられなくなった。かえりみれば1978年「図説臨床産婦人科講座 絨毛性腫瘍」の序説においては、絨毛癌の治癒率は50%と述べている。また、昭和62年(1987年)「産婦人科Mook 絨毛性疾患」では、2010年に絨毛癌による死亡はゼロになるとの可能性を予測している。その予想より20年も早く1990年代に死亡率ゼロは達成されたわけである。
名古屋大学医学部産婦人科では、過去40年間、多数の産婦人科医が絨毛性疾患の基礎的、臨床的研究に熱意を持って取り組み、その成果を直ちに絨毛性疾患の診断と治療に導入してきた1)。名古屋大学では、1990年以降の絨毛性疾患症例には死亡をみない。その結果、現在では絨毛性疾患の治療の目的は、絨毛癌を如何に予防するかという課題と、次に妊孕能温存に代表される患者のQOLを向上することが専らの関心事となっている。
現在、日本では絨毛癌を含め、絨毛性疾患で化学療法および手術療法を必要とする患者は減少してきたが、自然にそうなったのではなく、本疾患の研究、臨床に携わった多くの研究者、医師の熱心な日々の努力が実を結んだ結果である。特に日本産婦人科学会が1960年代に絨毛性疾患登録委員会を設置し、全国的データを集積し、本疾患の研究と啓蒙活動を推進した意義は大きなものがある2)。
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