今月の臨床 不正性器出血—原因と対応
妊娠に関連する出血
2.胞状奇胎,絨毛癌
吉川 史隆
1
,
井のう 一彦
1
,
後藤 節子
2
,
水谷 栄彦
1
1名古屋大学医学部産婦人科
2名古屋大学医学部保健学科
pp.1397-1399
発行日 1999年11月10日
Published Date 1999/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903833
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日本産科婦人科学会・日本病理学会合同委員会は絨毛性疾患を臨床的に表1のように4群に分類している.絨毛性疾患が疑われるが病理学的診断が得られない場合は存続絨毛症と呼称され,さらに臨床的侵入奇胎と臨床的絨毛癌は絨毛癌診断スコア表1)に基づいて分類され,病理学的に診断された侵入奇胎や絨毛癌とは明確に区分されている.絨毛性疾患は胎児付属物である胎盤絨毛より発生するので,父親由来遺伝子を持つ,いわゆる移植腫瘍とみなされている特徴的な腫瘍である.発生頻度には人種差が認められており,東南アジアや本邦においては欧米よりも発生頻度が高い.胞状奇胎,侵入奇胎,絨毛癌は一連の系統的疾患であり,各疾患群の関連について類似点と相違点を比較し理解する必要がある.
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