特集 婦人科癌発症のNatural history
絨毛癌
金沢 浩二
1
,
安達 茂実
1
,
八幡 剛喜
1
,
田中 憲一
1
Koji Kanazawa
1
1新潟大学医学部産科婦人科学教室
pp.215-218
発行日 1990年3月10日
Published Date 1990/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904832
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癌発生のnatural history,あるいはメカニズムが解明されるならば,癌の予防をもっと具体的に論じうるであろう。しかし,婦人科癌に限らずほとんどの臨床癌に関して,今日なお,その発生のメカニズムは明確にされていない。(妊娠性)絨毛癌は,妊娠にともなって発生する絨毛細胞をその母細胞とするから,男性および妊娠の既往の無い女性には発生しえない。正常な絨毛細胞と絨毛癌細胞との間にはいくつかの細胞生物的差異が観察され,絨毛癌細胞には癌としての特性が備わっており,また,実際の臨床においても絨毛癌患者の生命予後は重大である。しかしながら,正常な絨毛細胞が癌化する過程,あるいは胞状奇胎細胞が癌化する過程が,形態的に,機能的に,また分子生物学的にどのような変化であるかに関して,多くはなお推測の域をでない。
本稿では正常な絨毛細胞,胞状奇胎細胞と絨毛癌細胞との細胞生物的差異の幾つかを概説し,その癌化の過程について若干の考察を試みたいと考える。
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