原著
超音波断層法で卵胞発育をモニターしたhMG-hCG療法後の妊娠例の検討
河合 康夫
1
,
木下 勝之
1
,
佐藤 和雄
1
,
岡井 崇
1
,
上妻 志郎
1
,
椋棒 正昌
1
,
馬場 一憲
1
,
坂元 正一
1
Yasuo Kawai
1
1東京大学医学部産婦人科学教室
pp.227-233
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206781
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Lunenfeld et al.20)が開発したhuman menopausalgonadotropin (hMG)—human chorionic gonadotropin(hCG)療法は,排卵率,妊娠率ともに良好な成績を示し,不妊患者に福音をもたらした13)。しかし,これに伴う副作用は,卵巣過剰刺激症候群や多発排卵による多胎妊娠の頻度が高いことであり,臨床上の大きな問題であった6)。このための副作用軽減対策として,従来は頸管粘液の性状あるいは血中・尿中estrogen値を参考にして,hMG-hCGの投与量や投与法を調節する試みがなされてきたが,それだけでは満足すべき結果は得られていない。
近年,超音波断層法による診断技術の進歩は目覚しく,Kratochwil et al.19)が初めて超音波断層法で卵巣及び卵胞が描写可能なことを報告し,Hackeöer et al.17)が詳細な卵胞発育過程を報告した。わが国では佐藤8)が初めて報告し,その後の研究により卵胞発育の観察と排卵の確認が可能であることがわかり,不妊症治療の有力な手段になりつつある2,3,5,9)。
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