特集 流早産の原因と治療の問題点
流早産の原因についての2,3の免疫学的考察
竹内 正七
1
,
川名 尚
1
,
金子 実
1
Shoshichi Takeuchi
1
1東京大学医学部産婦人科教室
pp.709-716
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203759
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はじめに
流早産の原因に免疫学的なものがあるか否かは,きわめて興味ある重要テーマであるが,現在のところデータにいろいろの矛盾があり,統一的に説明しうるほど明確にはなつていない。
ABO式血液型不適合による免疫が妊娠の継続に不利に働くことが1926年HirszfeldおよびZborowski1)らにより指摘されたときには,あまり注目されていなかつたが,1941年にLevine2)らがRh型不適合による免疫で,新生児の溶血性疾患の起こることを報告して以来,血液型不適合と流早産の関係が注目されるようになつた。1950年代になつて,ABO不適合夫婦では適合夫婦の場合より,妊娠率は低く,流産率の高いことが多く報告されるようになつてきたが,その後流産と血液型不適合とはあまり関係がないという見解が強くなつてきている。Rh型不適合の場合には,胎児の溶血性疾患による児死亡の起こりうることが多くの報告により確認されてきたが,このことが示唆しているように,ABO不適合の場合にも,早産には関係があると考えられている。
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