特集 流早産の原因と治療の問題点
流早産における内分泌的因子
前山 昌男
1
Masao Maeyama
1
1奈良県立医科大学産婦人科教室
pp.717-720
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203760
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はじめに
流早産の因子としての内分泌環境(いわゆるendocrine abortion)に関する報告は枚挙に暇がない。しかし治療面から見た場合,現在のhor—mone療法は少数の例外はあるが,きわめて悲観的である。ヒトにおける排卵,受精,着床,妊娠ならびに分娩という一連の生殖現象のいずれの面においても,根本的な不明点を残している現在の医学では当然のことと考えられる。しかし他面において内分泌学は急速かつ驚異的な進歩を遂げつつある。すなわち1) hormoneの超微量測定→hormoneの代謝過程→特殊の内分泌疾患の解明,2) hormoneの生物,生理,薬理作用の究明→強力なるhormoneの合成,したがつて妊娠に関しても絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)における免疫学的妊娠反応,estriolによる胎児,胎盤機能判定など少なからずこの恩恵を被つている。
endocrine abortionに関する報告の多くは悲観的ではあるが,しかしこの問題に関する研究は年々新しい角度から検討が加えられつつある。
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