特集 流早産の原因と治療の問題点
流産と染色体異常
松田 正二
1
,
藤本 征一郎
1
Shoji Matsuda
1
1北海道大学医学部産婦人科教室
pp.703-708
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203757
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はじめに
1956年,Tjio (米),およびLevan (スェーデン)により人類の染色体研究の端緒がほどかれて以来,3年後にはLejeune (フランス)がDown'ssyndromeの患者にTrisomyを発見し,ついで,Jacobs and Strong (英)によりKlinefelter'ssyndrome, Ford (英)によりTurner’s syndromeの染色体構成が明らかとなつた。これらの報告がきつかけとなつて先天性異常の染色体研究は急速な進歩をとげてきたのである。
古来,流早産の原因に関する研究には,種々なる分野より莫大な努力がはらわれてきたが,その核心に到達することは困難のようであつた。従来より流産の原因の一つとして考えられていた「妊卵の異常」という事象は,解剖組織学的検索のみでは十分なる究明はなしえなかつたが,近年,染色体研究技術の進歩にともない,細胞学的レベルから,その一角を検討することが可能となり,この分野における急速な発展がなされつつある。
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