特集 異常妊娠とその診断
流・早産—免疫学的診断を主として
街風 喜雄
1
,
北村 進司
1,2
,
山田 幸男
3
Yoshio Tsumuji
1
,
Shinji Kitamura
1,2
,
Yukio Yamada
3
1関東逓信病院産婦人科
2伊豆逓信病院産婦人科
3伊豆逓信病院臨床検査科
pp.573-577
発行日 1970年7月10日
Published Date 1970/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204236
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はじめに
流早産は一言で定義づければ妊卵の剥離と排出という一つのプロセスを指すと考えられる。この一見単純のようにみえる現象もその内にかくされている多くの問題を考えるときあまりにも未知の分野が多すぎることに驚かされる。それは日常産婦人科診察で大きな部分を占める疾患であり,その臨床像はまことにバリエーションに富んでいるためなおさら問題は複雑となつてくる。
成書によれば流早産の成因は,概念的には明瞭に把握できるように分類されてはいるが,臨床面ではあまり役に立たない。この疾患は妊卵の着床以前から問題が追求されなければならない以上,その成因と思われるfactorがあまりにも多すぎて最近ではその基礎的究明がややもすると分散化しつつある感がしないでもない。もつと集中化して究明の方向づけをしたいものである。流早産の処置は多くの場合,格一化されたものであるのに反して,妊娠が継続できるか否かの決断を下すのには,しばしば悩ませられるのが現状である。
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