Japanese
English
原著
腰椎麻酔による血行虚脱の発生機序と自律神経遮断剤テブロンを応用せる虚脱下地検査法野嶽法に関する検討
Researches on the mechanism of the development of collapse in blood circulation following spinal anesthesia and the Nodake's method for examining its sings utilizing autonomic nerve block derivative"Thebron"
木戸 明
1
Akira Kido
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
pp.677-691
発行日 1956年10月10日
Published Date 1956/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201430
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緒言
Corning(1895)の創意に基き,Bier(1899)が始めて実地に応用した腰椎麻酔法(以下腰麻と略称)はその後使用薬剤に就き,或いは技法に於いて幾多改良の歴史を経たが今になお最も普及し常用されている麻酔法である。特に婦人科領域に於いてはその手術操作に当つて最も必要とされる腹壁筋の弛緩が完全且つ極めて容易に求められることから,他に比してとりわけ賞用され,腰麻を繞る諸問題が斯界に常に漸新な話題を提供している事実は此の間の消息を端的に物語るものと言える。斯かる傾向はやがて腰麻再検討の気運を新たにして従来その最大欠陥として各種の対策が講ぜられて来た血圧下降と言う副作用も,出血量の軽減を狙いとした所謂低血圧下麻酔(Gillies,1)Greene2))として活用され,更に分節麻酔乃至は調節麻酔(Tuohy3)),硬膜外麻酔(Schumacher4),Ruppert5))等,効果の確実性と安全性を高めるための技術的新工夫も次々と発表され,他方また,アイソトープ(I131)を応用して髄液内薬液の消長を探る等,数々の新知見に基く優れた業績が最近の注目を呼んでいる。また従来常識的に腰麻の禁忌と目されていた帝王切開ですら薬液の減量,上述の硬膜外麻酔或いは予防対策の改善等によりむしろこれを利とする点が多いとして推賞し支持する傾向さえ一部に見られている。
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