Japanese
English
原著
産婦人科領域に於ける抗生物質無効例の検討—感受性試験例を中心として
Researches on ineffective case of antibiotics in obstetrics and gynecology
青河 寬次
1
Kanji Seiga
1
1京都府立医科大学産婦人科学教室
pp.692-703
発行日 1956年10月10日
Published Date 1956/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201431
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I.はじめに
化学療法の父,Ehrlichは,かつて"微生物疾患なき人類の明日"を空想したが,近年に於ける諸種抗生物質の長足の進歩は,彼の死後50年にしてその夢を容易に実現するかに思われた。しかしながら,これら薬剤が広く使用されるに従つて,次第に薬剤の効果が薄れてくることが知られて来て居り,細菌の薬剤耐性の問題は,化学療法の応用上最も深い関心を抱かれるに到つたのである。
現在のところ,耐性菌の出現を防ぐ唯一の方法は,感染を早急に終了させることであるから,このためには,起炎菌の感受性測定と,その結果による化学療法剤の適応と選択とが甚だ大切なことがらである。従つて,現在では,薬剤の使用に先立ち,抗生物質感受性試験が行われて居り,その結果に俟つて合理的な薬剤投与がなされているのである。
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