症例研究
子宮癌放射線療法による無尿に對し人工輸尿管瘻を作った3例
下村 虎男
1
,
利重 五郞
1
,
鹽見 良明
1
1京都大學醫學部産婦人科教室
pp.152-156
発行日 1950年4月10日
Published Date 1950/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200338
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緒論
輸尿管は癌性浸潤に對して比較的強い抵抗性を有するものであるが,子宮癌の骨盤結合織浸潤が強度の場合二次的に輸尿管に浸潤の及ぶ事は周知の事實である.所謂手術可能の子宮癌の放射線療法中その照射術式が正鴻を得たものでありながら無尿を惹起することはFrangue (1915),Krömer(1916)の報告以來屡々注意を喚起されたことである.如何なる機轉によつて起つたとしても無尿状態が繼續すれば患者は必ず死の轉歸をとるものである.かかる場合徒らに消極的療法に終始して死な待つのは吾々醫師の把るべき道ではない.時機を失せず積極的に救急排尿の法を講ずべきものと信ずる.著者の一人(下村)は曾て救急手術として人工輸尿管瘻を造つた1例を第41回産科婦人科醫學會に發表したが該患者の其の後の經過を報告し,更に最近經驗した利重,鹽見,の2例を加えて記載し諸賢の御批判に供し度いと思う.
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