原著
進行子宮頸癌患者の初回治療における費用効果分析─化学放射線療法vs放射線療法─
上村 佳子
1
,
向後 麻里
2
,
井上 忠夫
3
,
大久保 和俊
4
,
岡井 崇
4
,
米山 啓一郎
5
,
木内 祐二
1
1昭和大学薬学部病態生理学
2昭和大学薬学部薬学教育推進センター
3聖路加国際病院薬剤部
4昭和大学医学部産婦人科学
5昭和大学保健管理センター
pp.209-216
発行日 2008年2月10日
Published Date 2008/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101679
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進行子宮頸癌患者における放射線療法と併用化学放射線療法を,費用効果分析により比較検討した.対象は,昭和大学病院産婦人科に入院し,放射線療法または併用化学放射線療法を施行した子宮頸癌患者20名とした.治療後の臨床的経過を示すMarkov modelを作成し,費用は社会の立場で直接医療費のみ算出した.臨床効果は論文値より算出し,死亡をアウトカムとして費用効果分析を行い,費用効果比,増分費用効果比を求めた.患者背景では,平均年齢が放射線療法群で有意に高かった.費用効果比は併用化学放射線療法群が161,988円/月,放射線療法群が93,089円/月で,増分費用効果比は256,770円/月であった.感度分析においても結果は覆らず,モデルの頑堅性が示された.併用化学放射線療法は1年あたり約300万円を追加して支払うことで,1年の生存年の延長が得られることが明らかとなり,その費用は十分に許容できると考えられた.
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