症例
中隔子宮に発生した子宮体癌の1自験例と本邦の文献集計
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
,
塚本 健一
3
,
藤田 美悧
3
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3新日鐵室蘭総合病院検査科
pp.217-223
発行日 2008年2月10日
Published Date 2008/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101680
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今回,中隔子宮に発生した子宮体癌の1例を経験した.症例は83歳,0経妊・0経産,閉経は50歳で,主訴は約1か月前より続く不正性器出血であった.本例の術前診断には経腟超音波がスクリーニングとして有用で,MRIは子宮奇形の確定診断に威力を発揮し,子宮体癌の診断は麻酔下の頸管拡張のうえ細胞診,組織診,子宮鏡が有用であった.また,文献集計を行ったところ,われわれの検索した限りでは本邦では田中ら(1987年)の初回報告以来,2007年2月末日までで20例であった.初診時の内膜細胞診は,30.8%(4/13例)は癌を検出できず,初回の組織診は悪性所見がないものが30.8%(4/13例)であった.最終的に術前診断で子宮奇形に合併した子宮体癌を正診できた例は,記載のある19例中9例(47.4%)で,疑い診断が2例,子宮体癌のみ診断できた例が6例(31.6%),子宮体癌または頸部腺癌の術前診断が1例,骨盤内腫瘤が1例であった.
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