明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY
III.腫瘍
子宮頸癌の放射線療法の進歩とその動向
岩田 正晴
1
,
佐々木 寛
1
,
岸野 喜保
1
,
光永 忍
1
,
北村 隆
1
,
土田 正祐
1
Masaharu Iwata
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科教室
pp.308-313
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206978
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近年の医学の進歩はめざましいものがあり,その一つに子宮頸癌の放射線療法があげられるが,これには放射線物理学と放射線細胞生物学の進歩が大きく関与しているといってよい。
すなわち,前者については従来は子宮頸癌の放射線治療は腔内照射が主体であったが,Tele 60Co, Lineacなど新たな照射装置の導入により大量の線量が骨盤内に照射できるようになり,骨盤内浸潤あるいはリンパ節転移などに威力を発揮するようになったことで,これによって治癒率の向上が認められるようになった。また後者の放射線細胞生物学の進歩ということでは細胞培養技術の進歩と種々のassay法の開発およびこれら細胞をanalyseするflow cytometryの出現などに負うところ大であり,いかにして腫瘍細胞をたたくか,すなわち無限増殖能を喪失させるか,またどんな細胞が低感受性か,さらに再発の要因は何であるか,などが検討されつつあり,その一部はすでに明らかになっている。
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