綜説
子宮頸癌(手術可能)の放射線療法
淸水 直太郞
1
1佐世保共濟病院産婦人科
pp.197-202
発行日 1953年4月10日
Published Date 1953/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200812
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「近頃ペニシリン,ストレプトマイシン等々の新藥が次々と出て,大抵の病氣が治り易くなりましたが癌にも何か新しい治療法が出來ましたか」とは屡々うける質問である。之に對して原子爆彈の副産物である「アイソトープ」による治療法と化學兵器研究で生れた「ナイトロヂェンマスタード」のN—オキサイト(ナイトロミン)による治療法とを癌撲滅への新武器として擧げる事が出來る。斯く新兵器の發達が難攻不落の癌陣攻撃に役立ち,平和的使命を果している事は真に嬉しい。この両新法ともに將來を大いに嘱望されるが,現在はなお完全にその效果を發揮する段階に系つて居らず,子宮癌治療法の主幹は依然として手術療法(廣汎剔除術)と放射線療法とに據らねばならぬのが現状である。然しこの両舊法も決して舊態依然として進歩がないわけではなく,手術療法は麻醉法,手術技術の改善進歩並に抗生物質,ズルファミン等による術後合併症の豫防,治療等により著しく安全となり,廣く常に廣汎剔除術が達せられ易くなつたし,放射線療法はレ装置の性能増大レ・ラ照射條件の個人化への工夫並に抗生物質,ズルファミン等による強力な照射の安全化等により遂次その效を増しつつある。
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