今月の臨床 産婦人科診療とリスクマネージメント
医療事故の実際とリスクマネージメント
3.腹腔鏡下手術
伊熊 健一郎
1
,
山田 幸生
1
,
奥 久人
1
,
伊藤 善啓
1
,
上田 真太郎
1
,
子安 保喜
1
1宝塚市立病院産婦人科
pp.148-157
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100620
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はじめに
1990年頃より各科で点火された腹腔鏡下手術は,産婦人科領域においても良性婦人科疾患に対しては今や標準術式となっている.その大きな理由は,従来法である開腹手術に比べて多くの利点のある手術だと患者側も医療者側も認識し得たからといえよう.しかしその一方では,従来法では起こりえない内容の偶発症や合併症にも遭遇することになる1~5).その危険性は,トロカー挿入に始まり,鉗子や器具の取り扱い,選択した術式や手技や手法によるものなどが,手術を終えてからもさまざまな形で待ち構えている.
それでは,どのようなことが実際に起きるのか,そのような事態を回避する方法はあるのか,もしそのような場面に遭遇した場合には,一体どのように対処すればよいのか,といったことについては,腹腔鏡下手術に携わる以上,自覚し,認識しておく必要があると考える.ここでは,われわれがこれまでに実際に体験してきた事例を公表することで,腹腔鏡下手術に携わる者への警鐘としたい6~18).また,手術に際しての患者との十分なインフォームド・コンセントが前提であることはいうまでもないことである.
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