今月の臨床 産婦人科診療とリスクマネージメント
医療事故の実際とリスクマネージメント
4.輸液・輸血
高松 純樹
1
1名古屋大学医学部附属病院輸血部
pp.159-165
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100621
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はじめに
近代輸血学の基礎となったABO式血液型の発見から1世紀を経た現在でも,ABO型不適合輸血により不慮の事故が後を絶たない現状がある.その原因については血液バッグの取り違え,血液型判定ミス,患者の取り違えが全体の4分の3に達している.なかでも血液バッグの取り違え,患者の取り違えなど輸血部門よりも患者との接点部分にてほとんど起こっていることは,輸血に関するリスク管理は単に輸血部門の問題ではなく病院全体の問題である.一方,輸液については輸血に比して重篤な副作用がいつも起こるとは限らないことから,日常臨床においては非常に多くのミスが起こっていると推定されている.
本稿では輸血事故の多くは患者との接点部分にて,human errorともいうべき初歩的なミスにより起こっていることを鑑み,主として輸血医療の観点からシステムについて考察し,近年その発展が著しい自動化機器の導入による安全性向上についても考察する.輸液については血液型のように患者特有の情報は必要でないものの,個人識別はその根本であることをふまえた対応が必要である.
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