今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
1.日常的な突発疾患の治療と注意点
[皮膚疾患,感染症] 蕁麻疹,湿疹
池田 美智子
1
,
南光 弘子
1
1東京厚生年金病院皮膚科
pp.455-457
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100234
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1 診療の概要
1. 蕁麻疹1)
痒みを伴う膨疹と紅斑が出没する疾患で,皮膚の一過性限局性の浮腫である.皮疹は数時間から1日以内に完全消退し,外来受診時に皮疹を認めないことも多い.病態はアレルギー性または非アレルギー性に肥満細胞が活性化され,脱顆粒により放出されたヒスタミンなどの化学伝達物質により真皮浅層の血管透過性が亢進され生じる.眼囲や口唇では皮膚深部で反応が起こり境界不明瞭な浮腫(血管性浮腫とも呼ばれる)を生じ,消退までに1日以上かかることも多い.発症から4週間以内に症状が消失するものを急性蕁麻疹,それ以降も出没を繰り返すものを慢性蕁麻疹として臨床の便宜上大別している.原因不明のものが多いが,現在ではおおよそ表1のように分類されている2).
急性蕁麻疹では食事,薬剤,感染症などによるものが多く,重篤な場合は呼吸困難,血圧低下,意識障害などのアナフィラキシー症状も伴う.食物依存性運動誘発性アナフィラキシーでは小麦,エビなどの特定食物を摂取後,運動負荷が加わることでアナフィラキシーを引き起こし近年増加傾向がみられる.また,ラテックスアレルギーがある者ではキウイやバナナなどの果物を摂取直後から数分以内に口唇,舌の腫脹を生じ,悪心,血圧低下に進展する口腔アレルギー症候群の存在も報告されている.
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