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シンポジウム 骨肉腫の診断と治療のトピックス
骨肉腫に対するカフェイン併用化学療法の分子生物学的検討―カフェインによるシスプラチン増強効果機序におけるP53蛋白の役割
Molecular Biology of Chemotherapy Combined with Caffeine for Osteosarcoma : Role of p53 on Synergistic Cytocidal Effect of CDDP by Caffeine
朝田 尚宏
1
,
土屋 弘行
1
,
富田 勝郎
1
Naohiro Asada
1
1金沢大学医学部整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, School of Medicine, Kanazawa University
キーワード:
caffeine
,
カフェィン
,
chemotherapy
,
化学療法
,
p53
,
p53蛋白
Keyword:
caffeine
,
カフェィン
,
chemotherapy
,
化学療法
,
p53
,
p53蛋白
pp.31-37
発行日 1997年1月25日
Published Date 1997/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908305
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抄録:当科のカフェイン併用動注療法は,自然耐性のない骨肉腫原発巣においてほぼ100%の局所有効性を得ている.しかし,薬剤耐性の骨肉腫の原発巣や転移巣では,90%以下の壊死効果に留まっている.カフェインは抗癌剤の増強剤として有用であるが,その作用機序に関しては未だ不明の点が多い.そこで,細胞周期の調節因子であるp53蛋白に着目し,カフェインの抗癌剤増強作用機序とp53蛋白の関係について分子生物学的手法を用いて解析すると共に薬剤耐性を打破する薬剤となりうるかどうかを検討した.シスプラチン感受性の骨肉腫に対してはカフェインはシスプラチンの殺細胞効果を増強した.カフェインのシスプラチン増強作用機序は,正常に機能している野性型p53蛋白の発現抑制によるDNA損傷修復阻害のための細胞死であると考えた.一方,シスプラチン耐性株ではp53蛋白との相互作用がないためにカフェインによる増強効果がなかった.
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