Japanese
English
シンポジウム 骨肉腫の診断と治療のトピックス
肺転移を生じた骨肉腫の原発巣と転移巣のDNAプロイディ解析
DNA Ploidy Analysis of Primary and Metastatic Lesions in Osteosarcoma with Pulmonary Metastasis
楠崎 克之
1
,
竹下 秀之
1
,
平田 正純
1
,
橋口 津
1
,
村田 博昭
1
,
平澤 泰介
1
,
芦原 司
2
Katsuyuki Kusuzaki
1
1京都府立医科大学整形外科
2京都府立医科大学第一病理
1Department of Orthopaedic Surgery, Kyoto Prefectural University of Medicine
キーワード:
DNA ploidy
,
DNAプロイディ
,
osteosarcoma
,
骨肉腫
,
metastasis
,
転移
Keyword:
DNA ploidy
,
DNAプロイディ
,
osteosarcoma
,
骨肉腫
,
metastasis
,
転移
pp.23-30
発行日 1997年1月25日
Published Date 1997/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908304
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録:肺転移を生じた7例の骨肉腫の原発巣と転移巣のDNAプロイディを解析し,両病巣の腫瘍細胞増殖動態の関連性を検討した.なお,全例にシスプラチンとアドリアマイシンによる術前術後の化学療法を施行した.その結果,7例の原発巣(生検材料)のDNAプロイディ・パターンは2倍体増殖(D)系が3例,異数倍体増殖(A)系が4例であった.一方,肺転移巣はD系が2例,A系が4例で正多倍体増殖(E)系が1例であった.変化のパターンはA→Aが3例で,D→D,D→E,D→A,A→Dが各1例であった.2倍体を超える核DNA量を有する細胞の出現頻度(%HDC)は転移巣で上昇したものがD系の3例で,A系の4例はいずれも低下していた.予後はA系4中2例,D系3例中2例が死亡した.本研究における原発巣と転移巣のプロイディ・パターンの変化には化学療法の影響がきわめて大きいと考える.従来のわれわれの研究では骨肉腫はA系よりもD系の方が化学療法に抵抗性のことが多く予後不良の傾向が認められた.今回の検索でもA系の方がD系に比べ%HDCの低下が大きく化学療法に良く反応していることが判明した.以上の結果および今までのわれわれの研究から骨肉腫ではやはりD系はA系よりも化学療法に抵抗性で,転移を生じやすく予後も不良である可能性が高いことが分かった.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.