論述
人工股関節のゆるみ—生体力学的実験と臨床的考察
末沢 慶紀
1
,
Adam Schreiber
1
,
Carlo Dietschi
1
Yoshinori SUEZAWA
1
1Orthopädische Universitätklinik Balgrist Zürich
pp.809-815
発行日 1976年9月25日
Published Date 1976/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905400
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
人工関節が変形性関節症をはじめ,あらゆる骨関節疾患の治療革命と評価され,欧米をはじめとしてわが国でも使われるようになつてから20数年を経る.その合併症は観察期間が長くなるにつれて,諸家により,臨床的,実験的に詳しく検討され報告されている.外界における滅菌方法をどのように改良しても,深在感染率をゼロにすることはできないように(Buchholtz 1973),最も深刻な合併症である感染の存在する限り人工関節の将来は全く楽観視はできないし,感染後の人工関節剔出術は,人工関節自体の運命の暗さを暗示しているようでもある.
人工関節のゆるみは,感染と密接な因果関係にあり,臨床的,X線上,血液所見,培養所見,などを綜合してもこの二つの因子を別々にわけて考えることは難かしい.というより区別すべきでなく,互いに一次的,二次的に影響する.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.