論述
軟部腫瘍およびその他の軟部疾患の血管造影について
上尾 豊二
1
,
広谷 速人
1
,
伊藤 鉄夫
1
,
田中 寛
2
,
坂本 力
2
Toyoji UYEO
1
1京都大学医学部整形外科学教室
2京都大学医学部放射線学教室
pp.816-831
発行日 1976年9月25日
Published Date 1976/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905401
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四肢の腫瘍を診断するに際して,骨腫瘍は単純レ線撮影あるいは断層撮影で,かなり豊富な情報が得られる.しかし軟部腫瘍はinvasiveに骨をおかすことはあつても,その主病変は軟部組織であつて,骨腫瘍におけるようにはレ線像は有用ではなく,診断に困難を覚えることが多い.したがつて67Ga,97mTc-BLM等による腫瘍シンチや血管造影は軟部腫瘍の術前診断の有力な手段ということができる.われわれはあらかじめ腫瘍シンチを行い大体の予想を得た上で,血管造影を施行している.悪性軟部腫瘍と良性疾患では治療のプログラムおよび手術方針が全く異なることは言をまたない.血管造影の段階で,少なくとも悪性と良性の鑑別がつけば,強いてバイオプシーを行う必要がなく,転移の機会を減らすとともに,造影時のカテーテルを利用して,そのまま抗癌剤の動脈内注入を開始することができる.そのような意味からも血管造影による悪性,良性の鑑別は大きな意義がある.われわれは,これまでに施行した四肢の各種軟部疾患の血管造影の所見について検討を行つた.ここにその概略を報告する.
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