Japanese
English
論述
腰部変性後彎の力学的考察,X線学的検討—骨盤傾斜と股関節への影響を中心に
Roentgenologic and Mechanical Study of Lumbar Degenerative Kyphosis: with Special Reference to Effect of Sacral Inclination and Hip Joint
岩原 敏人
1
,
竹光 義治
1
,
渡壁 誠
1
,
後藤 英司
1
,
柴田 稔
1
,
熱田 裕司
1
,
今井 充
1
,
原田 吉雄
1
Toshihito Iwahara
1
1旭川医科大学整形外科学教室
1Department of Orthopedic Surgery, Asahikawa Medical College
キーワード:
腰部変性後彎
,
lumbar degenerative kyphosis
,
仙骨底傾斜角
,
sacral inclination angle
,
仙骨—大腿角
,
sacro-fennoral angle
,
力学的平衡
,
mechanical equivalent
,
変形性股関節症
,
OA of the hip
Keyword:
腰部変性後彎
,
lumbar degenerative kyphosis
,
仙骨底傾斜角
,
sacral inclination angle
,
仙骨—大腿角
,
sacro-fennoral angle
,
力学的平衡
,
mechanical equivalent
,
変形性股関節症
,
OA of the hip
pp.811-819
発行日 1988年7月25日
Published Date 1988/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907897
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抄録:支持組織の老化,変性により腰椎部の前彎が消失または後彎化した腰部変性後彎を全脊柱立位X線の計測,および,股関節周囲筋の筋電図学的研究等より骨盤や股関節に及ぼす影響を検討した.腰椎の後彎化とともに,直立時骨盤前傾の減少,股関節の過伸展,股関節の仙骨に対する前方移動が認められ,胸椎後彎角は多くは減少ないし前彎化するが,増大するものもあり偏差は大であった.筋電図およびX線像より力学的に算出した股関節に及ぼす合力は高度の腰部変性後彎では正常の約5倍となるものがあった.さらに臼蓋前方のかぶりの減少より骨頭頭頂部の応力集中が推定された.腰部変性後彎は重心の前方移動が生じ,このため隣接する胸椎や骨盤に代償性の変化が出現する.躯幹重心を後方に少しでも移そうとするため骨盤の後傾化が起き結果的に股関節の過伸展が生じる.このように高度腰曲がりの変化は,股関節に及ぼす負担を増大する結果となると推察した.
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