論述
人工股関節ゆるみの生体力学的研究
末沢 慶紀
1
,
Adam Schreiber
1
,
Carlo Dietschi
1
Yoshinori SUEZAWA
1
1Aus der orthopädischen Universitätklinik Balgrist, Zürich.
pp.232-237
発行日 1977年3月25日
Published Date 1977/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905488
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はじめに
股関節,特に臼蓋部における生体力学的研究から静,動的荷重時の臼蓋に与える影響を知り,人工股関節の最も重要な遅発性合併症であるゆるみの原因として,われわれはすでに1975年欧州各学会で弾力性の相異にもとついた,生体力学的不均衡を報告している,その結果Polyethylen-Metall-KomplexがMetall-Metall Komplexより生体力学的に優れていることがわかり,これは臨床統計的にも証明されている.
さてわれわれの実験の基本となつたEpoxy樹脂骨盤モデルは,ヒト骨盤とちがい,一様な弾力性をもつている.静的荷重時の負荷力が初期の実験結果のとおり骨皮質層を主として伝達していくことを,いいかえると海綿骨層における負荷力伝達のきわめて小さいことを知るため,さらに後述の実験で確かめた.ヒト骨盤臼蓋部の各部位の弾力性を計り,骨皮質一骨海綿骨と同じ弾力性相異をもつEpoxy樹脂,Polyurethanからなる骨盤モデルを作つた.これに静的荷重を行い,外,内層にうめ込んだストレンゲージで負荷状態を観察する.
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