論述
高年齢に見られる膝関節内持続性出血について
広畑 和志
1
Kazushi HIROHATA
1
1神戸大学医学部整形外科学教室
pp.31-38
発行日 1974年1月25日
Published Date 1974/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904936
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はじめに
日頃,われわれは膝関節に貯溜した滲出液を採取してその外観や性状によつて,ある程度の疾患を鑑別することが必要である.たとえば溷濁している場合にはリウマチ,結核,感染症などの炎症疾患を疑い,透明である場合には変性疾患,半月損傷,あるいはinstabilityなどによる単純な滑膜の刺激性反応を考える.そして,爾後の臨床検査によつて診断が確定され,適切な治療がおこなわれる.
一方,穿刺液が血性である場合には,もしも病歴に外傷があつたり,出血素因となる血液疾患が認められれば,診断もそれほど難しくない.然し日常の診療で原因の摑めない持続性出血のある症例に遭遇することも少なくない.この場合には往々にしてbiopsyや関節を開いて診断せねばならない.
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