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あとがき
仁木 久照
pp.208
発行日 2020年2月25日
Published Date 2020/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201605
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令和2年の第96回箱根駅伝では「厚底シューズ」が注目されました.80〜90%の選手が履き,驚異的な記録を連発し,ある解説者は「時計が壊れているかのよう」と表現していました.テレビ局は,予定より早く終わりすぎて,余った放送時間の調整が難しかったとも報道していました.少し前までは上級者ほど「薄底」を好むというのが常識でしたが,根底から覆ったわけです.開発経緯を調べてみると,某メーカーが42.195kmの“2時間切り”を達成する目的で開発され,そのきっかけはリオ五輪男子マラソンで金メダルを獲得したケニア選手からの要請だったそうです.そのケニア選手は某メーカーの思惑どおり,昨年10月に非公認レースながら神の領域であった“2時間切り”を達成しました.札幌で行われる東京オリンピック2020のマラソンでは厚底シューズを履いた選手ばかりになるのでしょうか.脚へのダメージが軽減できるので,故障の軽減にもつながるかもしれません.あるいは限界を超える走行は,これまでの常識とは異なる故障を引き起こすかもしれません.足の外科を専門とする私にとって大変興味があるニュースです.いろいろな意味で注目です.
さて,今月の特集は「整形外科の職業被曝」で,伊藤淳二先生が企画されました.整形外科医にとって,手術,脊髄造影,神経根ブロック,四肢透視,など放射線を扱う業務が多いことは言うまでもありません.患者に対する低侵襲手術が発展している一方で,X線透視による医療従事者の術中被爆が問題にもなっています.本企画を通じて,整形外科の職業被曝の実態と対策について情報収集していただければと存じます.
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