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プロ野球界に18年ぶりの三冠王が誕生しました.ヤクルトスワローズの村上宗隆選手,22歳での戴冠は史上最年少で,56本塁打は日本人選手の最多記録となります.1964年に王貞治さん(巨人)が記録した日本選手のシーズン最多本塁打記録,「聖域」ともいえる大記録を破ったのです.しかも,レギュラーシーズン最終戦での一発でした.9月13日の55号を受けて,ソフトバンクの王貞治球団会長は次のようにコメントしています.「投手が分業制のいまの時代に本塁打を量産するのはわれわれの時代よりも難しい.彼の技術がいかにずぬけているか.飛距離を含め,テレビではなく実物を見たいと思わせる選手.50本,60本と何回も打てると期待している」.そう,まさしく実物を見たいと思わせる選手です.さらに2022(令和4)年の対オリックスバファローズとの日本シリーズ第1戦でも,値千金のホームランで追加点をもぎ取りました.期待を裏切らないとはこのことなのではないでしょうか.55本で並んでいた王貞治さんを超えたことについては「偉大な方の記録を破ることができて,すごくうれしいが,いろんな先輩方は,もっとすごい偉業を成し遂げていますし,僕もこれから続けていくことが大事なので,もっともっと長いシーズン,こういう成績を残せるように頑張りたい」とのコメント.この謙虚さこそが,22歳という若さにもかかわらず,己をコントロールし努力を続けられ,プレッシャーにも打ち勝てるのだと思います.今後,注目したい若者の誕生です.
さて,今月の特集は「大腿骨近位部骨折—最新トレンドとエキスパートの治療法」で,白濵正博先生に企画していただきました.大腿骨近位部骨折の治療体系に始まり,大腿骨頚部骨折の分類,骨接合術,人工物置換の機種選択と進入法,大腿骨転子部骨折の分類,整復,固定材料,合併症について取り上げていただきました.令和4年4月から,大腿骨近位部骨折における受傷後48時間以内の手術に加算がつくようになりましたので,ホットな内容といえると思います.本企画を通じて,大腿骨近位部骨折治療の最新事情に触れていただければと思います.さらに,細金直文先生の視座「ジャネーの法則」,最新基礎科学2編,そして症例報告2編とつづきます.
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