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ローカルなニュースで恐縮です.厚生労働省は2020年の平均寿命で,川崎市麻生区が全国の市区町村で,男女とも最も長寿だった(男性84.0歳,女性89.2歳)と発表しました.15年の調査では男性83.1歳(2位),女性88.6歳(4位)でしたが,ともに延びています.川崎市麻生区は私が所属する聖マリアンナ医科大学のある川崎市宮前区の隣の区で大学の医療圏です.多摩丘陵の里山が連なる坂道の多い街で,新聞には「足腰が鍛えられて健康な人が多いのかも」と書かれていました.「15分くらい続けて歩いていますか」の問いでは,最も高い88.2%が「できるし,している」と回答しています.また,川崎市が昨秋に実施した高齢者実態調査(65歳以上対象)でも,麻生区民の健康意識は高い傾向がみられ,川崎市7区のうち,がん検診を定期的に受診している割合は34.9%で,宮前区の35.7%に次ぐ高さだったとのことです.
こうした誇らしいデータとは裏腹に,川崎市には1つの課題が浮き上がってきています.人口が減らない,あるいは増えている地区の行政は,来年4月からの医師の働き方改革によって中小病院が夜間の一,二次救急体制を維持できなくなる可能性があると推測しています.夜間の救急医療の崩壊を避けるために,大学病院を筆頭とした大病院に一,二次救急の受け入れ体制の強化,具体的には救急車受け入れを現在の6,000件から10,000件にするように要請してきています.今のシステムのままで一,二次救急受け入れが増えれば,整形外科はますます繁忙となり壊滅します.これまでの概念にとらわれず,病院全体,全科で対応するシステムを構築することが求められています.1年後,吉と出るか凶と出るか結果が出ていると思いますので,機会があればご報告させていただきます.
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