誌上シンポジウム 難治性良性腫瘍の治療
緒言
吉川 秀樹
1
1大阪大学大学院医学系研究科・器官制御外科学(整形外科)
pp.514
発行日 2012年6月25日
Published Date 2012/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102361
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
骨軟部の良性腫瘍は,整形外科医が日常診療の場でしばしば遭遇する疾患である.良性であることから,一般整形外科医が腫瘍の専門施設以外で治療を行うこともあるが,再発を繰り返し治療に難渋する症例や,不適切な治療により機能障害を生じることがある.
良性軟部腫瘍では,血管腫,デスモイド腫瘍,色素性絨毛結節性滑膜炎などがこれに相当する.血管腫では,疼痛を伴うものが治療対象になるが,外科的切除に加えて,近年,IVR(interventional radiology)による経皮的硬化療法や塞栓療法など新しい治療法が開発されてきた.デスモイド腫瘍に対しては,広範切除術が基本であるが,手術後の再発率が高く,従来から,消炎鎮痛薬,抗エストロゲン療法,メトトレキサートなどの薬物療法が試みられてきた.近年,分子標的治療薬(イマチニブ)や抗アレルギー薬(トラニラスト)などの新しい治療法による有効例も報告されている.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.