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関節リウマチの治療は,生物学的製剤が導入されたことにより,明らかな変貌を遂げた.現在,TNF関連製剤,IL-6関連製剤,T細胞制御製剤の臨床使用が可能となっている.これらの薬剤の使用により,関節破壊の抑制効果が示され,患者の疾患活動性も制御可能となりつつある.すなわち,短期的QOL改善を目的とする治療から,長期予後の改善を目指す治療へとパラダイムシフトが起きたのである.本邦では,生物学的製剤が臨床使用されて約12年が経過し,疾患そのものへの有効性が示された一方,重篤な合併症の出現や,整形外科手術の変化が認められるのも事実である.実際に,整形外科手術が減少しつつあるのか,整形外科手術のタイミングをどう決定すればよいのかなど,新たな検討課題が現れてきた.本誌上シンポジウムでは,生物学的製剤の使用により,関節リウマチの病態,整形外科手術,合併症がいかに変化したか,臨床の第一線でご活躍の先生方に,多方面から解説していただいた.
門野先生には,関節病変と寛解率の変化を,主としてMTX併用,非併用で比較検討していただいた.桃原先生には,生物学的製剤使用による病勢安定化に伴い,整形外科手術の適応の変化や,小関節手術の需要が増していることなどを報告していただいた.宮原先生には,生物学的製剤使用下での整形外科手術における局所的合併症としての,感染や創傷の遷延治癒などについて検討していただいた.海渡先生には,生物学的製剤の登場により,RA頚椎病変の新規発症の抑制がみられる一方,その進行の抑制には限界があることなどを解説していただいた.最後に,藤田先生には,生物学的製剤の内科的合併症としての結核,B型肝炎,間質性肺炎などの診断・治療について,わかりやすく解説していただいた.
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