視座
脳神経外科とのコラボ
武者 芳朗
1
1東邦大学医療センター大橋病院脊椎脊髄センター
pp.511-512
発行日 2012年6月25日
Published Date 2012/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102360
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脳神経外科とのコラボレーションで,脊椎脊髄センターを開設して3年目を迎えた.手術はすべてに顕微鏡を用いるようになり,最近めがねが必要になっていた私は,最先端の光学機器の恩恵にあずかっている.顕微鏡下手術は,切開が比較的大きい,暗がりになるなどの欠点が指摘されたが,内視鏡用円筒形レトラクターなどの開創器を用いれば顕微鏡下でも内視鏡と同様の小切開手術は可能である.現在,本邦の整形外科脊椎外科は内視鏡万能の時勢にあるが,「なぜ内視鏡なのか? 理由がわからない」という顕微鏡派の整形外科医も少なくない.
本邦でも米国でも,神経外科系脊椎外科医はもっぱら顕微鏡を用いる.本邦の脳神経外科での顕微鏡脊椎手術は,泰斗であるチューリッヒ大学のヤシャルギル教授のもとで学ばれ昭和48年に帰国された京大の小山素麿先生から本格的に始まり,脈々と受け継がれてきている.脳神経外科は,脳においても技術の粋を尽くした顕微鏡とともに発展を遂げてきた.京大の脳神経外科名誉教授であられる菊池晴彦先生が,頭蓋内病変にマイクロサージャリーを導入されたのは,昭和45年であった.先生はチューリッヒ時代,小山先生の兄弟子であられた.脳神経外科医は顕微鏡に慣れ親しんでいるし,これなくしては仕事にならないほどのもので,彼らの手足の一部である.先日,小山先生とお話しする機会を得た.先生の現在のご趣味は精密な鉄道模型の作製や昆虫標本の観察で,その作製や観察にも顕微鏡を用いているとのこと.小山先生は現日本脊髄外科学会理事長,花北順哉先生の指導医であられた.
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