誌上シンポジウム 骨粗鬆症診断・治療の新展開
緒言
吉川 秀樹
1
1大阪大学大学院医学系研究科・器官制御外科学(整形外科)
pp.880
発行日 2010年10月25日
Published Date 2010/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101812
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骨粗鬆症は,人口の高齢化に伴い患者数は急増しつつあり,現在,本邦では1,000万人を越えると推定されている.骨粗鬆症では,脊椎圧迫骨折,大腿骨頚部骨折,前腕骨折などに伴う著しい運動機能の低下,介護の必要性,医療費の高騰など,社会的にも大きな問題になりつつある.いったん,骨折を起こせば,整形外科的な治療が必要となるが,一方では骨折を予防し,骨折のリスクを減少させるという内科的治療が重要である.そのためにも,骨粗鬆症の新しい診断技術や治療薬の開発が急務である.本誌上シンポジウムでは,近年,急速な進歩が見られる骨強度・骨質の定量的評価法の開発,新たな作用機序を有する骨粗鬆症治療薬の開発,その将来展望について,臨床の第一線でご活躍の先生方に解説していただいた.
診断面では,伊東昌子先生には,三次元データに基づいて任意の断面での再構成画像を解析することが可能なMDCTによる骨質評価と骨折リスクとの相関について解説していただき,大西五三男先生には,有限要素法による構造解析により,患者固有の三次元骨構造,骨量分布,材料特性分布を明らかにし骨強度評価を行う新手法について述べていただいた.一方,斎藤充先生には,材質からみた骨質評価という観点から,骨コラーゲンの過老化と関連の深い血中・尿中ペントシジン値や血中ホモシステイン値と骨折リスクの相関を紹介していただいた.
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