特集 膝周囲骨切り術を成功に導く基礎知識
緒言
中村 立一
1
Ryuichi NAKAMURA
1
1春江病院関節温存・スポーツ整形外科センター
pp.1106
発行日 2021年9月25日
Published Date 2021/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202130
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かつては「膝の骨切り術=高位脛骨骨切り術(high tibial osteotomy:HTO)」だったが,近年では解剖学的な膝形状維持および関節面水平化を目的に,個々の変形中心に応じた「膝周囲骨切り術(around-knee osteotomy:AKO)を使い分けることが推奨されている.この術式の進化と裏腹に,AKOの複雑化に困惑する医師が増えたのも事実だが,いかに複雑化しようとも「普遍的な基礎知識」があり,それに従い確実に手術を行うことがAKO成功の鍵である.従来の教科書や雑誌の特集では術式別の縦割り的解説が一般的だが,本特集では術式各論には触れずに,AKOの「普遍的な基礎知識」をさまざまな視点から横断的に網羅した.
まずAKOの基礎への理解を深めるために,AKOの未来的展望(中山寛先生)と歴史的展望(近藤英司先生)を対比して解説していただいた.また半月板フープの概念で大きく変わったAKOの適応とタイミングや(秋山武徳先生),半月板治療から見たAKOの必要性(古賀英之先生)は近年の最大のトピックである.画像検査では3次元CTや画像解析ソフトなどの発展がAKOに多大な貢献をしたのは確かだが,今こそ古典的撮影法の基礎を再確認する必要がある(田畑悦子先生).またその画像をいかに評価して術前計画を行うかが極めて重要である(小川寛恭先生).
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