誌上シンポジウム 軟部腫瘍の診断と治療
緒言
吉川 秀樹
1
1大阪大学大学院医学系研究科・器官制御外科学(整形外科)
pp.202
発行日 2010年3月25日
Published Date 2010/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101689
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軟部腫瘍は,整形外科のなかでも,その対応,治療が生命に直接関わる重要疾患であり,診察,画像診断,病理診断,手術手技,化学療法,放射線治療の知識など,とりわけ集学的知識が要求される.日常診療の場で遭遇する軟部腫瘍の多くは四肢や体幹部の比較的表層に局在しているため,MRIなどの画像検査を行うことなく,局所麻酔下に,安易に切除されることもいまだ少なくない.切除後の結果が悪性であった場合,再発・転移の危険が増大し,その後の生命予後に重大な影響を及ぼすという認識が必要である.したがって,軟部腫瘍の診断を行う際には,まず,その腫瘍が良性か悪性かを念頭に置き,経過観察でよいか,生検術を含め積極的に治療を要するものであるかどうかを適切に判断すること,次に,判断に迷った場合は,安易に生検や切除術を行わずに,骨・軟部腫瘍の専門医に相談することが必要である.
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