誌上シンポジウム 骨関節外科への3Dプリンティングの応用
緒言
村瀬 剛
1
Tsuyoshi MURASE
1
1大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科)
pp.96
発行日 2018年2月25日
Published Date 2018/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201013
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2013年,オバマ大統領(当時)が一般教書演説で「3Dプリンターに大きな開発投資をして米国の製造業を変革する」と宣言して以来,3Dプリンティング技術はさまざまな分野で脚光を浴びるようになった.医療,なかでも骨関節を扱う整形外科は,同技術の恩恵を受ける有望な分野であることに間違いない.
3Dプリンティングの基礎となる積層造形のアイディアは,名古屋市工業研究所の小玉秀男氏の1980年の発案がオリジナルであった.しかしながら,当時この発明は日本国内で評価されず,特許も成立しなかった.後に米国3Dシステムズ社が実用化して以来,医療用途などの高機能な機種は欧米企業の寡占状態である.一方,私が2015年末に招聘された北京大学主催のシンポジウムでは,樹脂造形,金属造形のさまざまな整形外科臨床応用が活発に発表され,その勢いには凄まじいものがあった.すでにいくつものベンチャー企業が中国で設立され,新しい技術に熱い眼差しが向けられていた.
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