目で見る外科標準術式・5
胸腔鏡下食道切除術
東野 正幸
1
,
谷村 愼哉
1
,
福長 洋介
1
Masayuki HIGASHINO
1
1大阪市立総合医療センター消化器外科
pp.633-640
発行日 2000年5月20日
Published Date 2000/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904117
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はじめに
実験的に縦隔鏡を用いて鏡視下に食道切除が試みられたのは比較的早く,1989年Kipfmüllerら1)は羊を用いて行っている.しかし,最初に臨床例で胸腔鏡下に食道を切除したのは1992年のCuschieriら2)とされる.本邦では川原ら3)の反転抜去との組み合わせによる臨床例への応用に始まり,その後井上ら4)や赤石ら5)によって通常の開胸術とほぼ同様の手順で鏡視下に食道切除が行われるようになってきた.しかし,現在においても胸部食道癌に対する胸腔鏡下食道切除の位置付けに関して施設により若干の相違がみられる.すなわち,井上らは現時点では十分なリンパ節郭清を鏡視下で行うことは困難であるとしているのに対して,赤石らや筆者ら6)は鏡視下においても通常の右開胸下と同様のリンパ節郭清が可能であると報告してきた.本稿では筆者らが行っているミニ開胸を併用した胸腔鏡下食道切除,ならびにリンパ節郭清の手術術式と工夫について述べる.
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