特集 イラストレイテッド外科標準術式
Ⅰ.食道の手術
胸腔鏡下食道切除術
東野 正幸
1
,
竹村 雅至
1
,
谷村 愼哉
1
,
福長 洋介
1
Masayuki HIGASHINO
1
1大阪市立総合医療センター消化器外科
pp.53-60
発行日 2006年10月22日
Published Date 2006/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100998
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はじめに
実験的に縦隔鏡を用いて鏡視下に食道切除が試みられたのは比較的早く,1989年Kipfmullerら1)は羊を用い行っている.しかし,最初に臨床例で胸腔鏡下に食道を切除したのは1992年のCuschieriら2)とされる.わが国では川原ら3)の反転抜去との組み合わせによる臨床例への応用に始まり,その後,井上4)や赤石5)らによって通常の開胸術と同様の手順で鏡視下に食道切除が行われるようになってきた.しかし,現在においても胸部食道癌に対する胸腔鏡下食道切除術の適応や位置づけに関しては,施設により相違がみられる.筆者らは,以前から鏡視下においても右開胸下の術式と同等の郭清が可能であり,さらに呼吸機能の温存が可能であることを報告してきた6).本稿では筆者らが行っている,完全鏡視下の胸腔鏡下食道切除術,ならびに縦隔リンパ節郭清の手術手技と工夫について述べる.
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